鹿猿狐ビルヂング正面玄関鹿猿狐ビルヂング正面玄関

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奈良を、日本の工芸を元気にする!中川政七商店の新拠点

2021.4.13

伝統・現在・近未来を巡る。中川政七商店「鹿猿狐ビルヂング」の魅力

江戸中期に、麻織物「奈良晒(ならさらし)」の問屋として奈良の地に創業した「中川政七商店」。約300有余年に渡って、麻織物を扱い続け、近年は工芸をベースとした生活雑貨の製造小売業を行い、「中川政七商店」「日本市」などのブランドを中心に日本全国に約60店舗を展開。また現在では、長年の知見を活かして、『日本の工芸を元気にする!』をビジョンに掲げて、工芸を中心とした企業やブランドの経営コンサルティング、地域活性事業など、幅広い事業へと発展している。

 

そして2021年4月14日、中川政七商店の商いの原点である奈良・元林院町に複合商業施設「鹿猿狐ビルヂング」をオープンし、中川政七商店 奈良本店が誕生する。


奈良本店限定の商品。 奈良本店限定の商品。

奈良本店限定の商品。


中川政七商店の「鹿」、猿田彦珈琲の「猿」、㐂つねの「狐」。
3匹が集う「鹿猿狐ビルヂング」を巡る

 

近鉄奈良駅から徒歩7分、JR関西本線奈良駅から徒歩15分に位置する奈良・元林院町は、中川政七商店の創業の地である。世界遺産の興福寺からも近く、迷路のように入り組んだ路地に「鹿猿狐ビルヂング」が誕生する。

 

設計は、鳥羽市立海の博物館や銀座線渋谷駅、とらやの店舗シリーズなどを手掛けてきた日本を代表する建築家のひとり、内藤廣である。内藤は設計に当たり「まず考えたことは、この歴史を紡いできた路地の一角にある建物として、奈良の景観に馴染むこと。そしてここは伝統を紡いできた地であり、かつ新たな時代がスタートする場所に相応しいものにすることだ」と語る。奈良で生まれ、長きに渡って奈良を拠点として事業を続けてきた中川政七商店が、この創業の地で新たな挑戦に出る。そしてこの地から、私たちへ多くのメッセージを伝えてくれるようだ。

「ならまち」の風景に溶け込む「鹿猿狐ビルヂング」。開放的なガラス窓から見渡せる奈良の街並みも心地よい。 「ならまち」の風景に溶け込む「鹿猿狐ビルヂング」。開放的なガラス窓から見渡せる奈良の街並みも心地よい。

「ならまち」の風景に溶け込む「鹿猿狐ビルヂング」。開放的なガラス窓から見渡せる奈良の街並みも心地よい。


奈良県初の出店となるスペシャリティコーヒー店「猿田彦珈琲」オリジナルの「ならまちブレンド」がある。 奈良県初の出店となるスペシャリティコーヒー店「猿田彦珈琲」オリジナルの「ならまちブレンド」がある。

奈良県初の出店となるスペシャリティコーヒー店「猿田彦珈琲」オリジナルの「ならまちブレンド」がある。


ミシュラン一つ星掲載店「sio」による初のすき焼きをメインとしたコースがいただける「㐂つね(きつね)」。 ミシュラン一つ星掲載店「sio」による初のすき焼きをメインとしたコースがいただける「㐂つね(きつね)」。

ミシュラン一つ星掲載店「sio」による初のすき焼きをメインとしたコースがいただける「㐂つね(きつね)」。

鹿猿狐ビルヂングの1、2階は中川政七商店 奈良本店があり、800を超える作り手と協働した約3000点のオリジナル商品が並び、奈良在住の作家ものや伝統工芸品も多く取り揃えられている。また同じ1階にはスペシャルティコーヒー店「猿田彦珈琲」、すき焼きをメインとしたコースがいただける「㐂つね(きつね)」がある。

 

そして3階に上がると、中川政七商店初のコワーキングスペース「JIRIN(じりん)」がある。『スモールビジネスで奈良を元気にする!』をビジョンに掲げ、奈良のまちづくりに取り組む「N.PARKPROJECT」の拠点でもあり、中川政七商店が企画する経営講座やトークイベントなどを行う予定だ。このスペースは有料ではあるが、誰もがワーキングスペースとして自由に使うことができる。興福寺の五重塔や奈良の街並みを眺めながらゆったりと仕事ができる環境の提供はありがたい。またここにはBACHの幅允孝選書のライブラリも併設されている。


創業地に建つ直営店「旧遊 中川 本店(中川政七商店 奈良本店)」。 手績み手織りの麻をはじめ、日本の染織技術から生まれた服や服飾小物が並ぶ。また奈良本店では好きな布から座布団などをオーダーできるおあつらえ場もある。 創業地に建つ直営店「旧遊 中川 本店(中川政七商店 奈良本店)」。 手績み手織りの麻をはじめ、日本の染織技術から生まれた服や服飾小物が並ぶ。また奈良本店では好きな布から座布団などをオーダーできるおあつらえ場もある。

創業地に建つ直営店「旧遊 中川 本店(中川政七商店 奈良本店)」。 手績み手織りの麻をはじめ、日本の染織技術から生まれた服や服飾小物が並ぶ。また奈良本店では好きな布から座布団などをオーダーできるおあつらえ処もある。

麻に関わる道具や布が保管されている「布蔵」。機織り機などの道具を使って「手績み手織り麻」のものづくり体験もできる。 麻に関わる道具や布が保管されている「布蔵」。機織り機などの道具を使って「手績み手織り麻」のものづくり体験もできる。

麻に関わる道具や布が保管されている「布蔵(ぬのぐら)」。機織り機などの道具を使って「手績み手織り麻」のものづくり体験もできる。

奈良観光の起点となる場所へと願いを込めて

 

鹿猿狐ビルヂングから中庭へと抜けると築130年の町家へと通じ、ここから中川政七商店の歴史を体感できる空間へとつながっていく。かつては中川家の住居兼商いの場であった、中川政七商店の創業の地にあるのは「旧遊中川 本店(中川政七商店 奈良本店)」、茶道ブランド「茶論(さろん)奈良町店」。また中庭側にはかつての庫を改装した「時蔵(ときぐら)」「布蔵(ぬのぐら)」があり、中川政七商店の歴史を見学したり手績み手織り麻のものづくりが体験できる。


奈良を訪れた記念に欲しくなる、奈良ならではの商品も多く揃っている。 奈良を訪れた記念に欲しくなる、奈良ならではの商品も多く揃っている。

奈良を訪れた記念に欲しくなる、奈良ならではの商品も多く揃っている。

鹿猿狐ビルヂングとはなんとも変わったネーミングである。これは中川政七商店のロゴの「鹿」と、猿田彦珈琲の「猿」、すき焼き店㐂つねの「狐」から名付けられている。この名前から、3匹の結束とそれぞれの新たな試みへの意気込みが強く伝わってくる。

「工芸の復活には、ものづくりだけでなく、それを生み出す産地自体が活性化することが必要です。中川政七商店は、産地へ人を呼び込む『産業観光』を奈良で実現し、モデルケースとなることを目指しています。奈良での事例が全国の産地に応用され、100年先の未来に工芸を繋げていくことの一助となるよう、奈良の新しい拠点としてたくさんの方にお越しいただけると嬉しいです」と千石あや社長は語る。

 

日本の工芸を取り巻く環境は依然厳しく、また地方経済の活性化も社会の課題のひとつだ。これらの解決は一人の人間では難しいかもしれないが、多くの知恵と多くの人の力が結束すれば実現も可能なはずだ。中川政七商店の取り組みが、これからの奈良に、そして工芸の未来に明るい希望の光となることを消費者の1人として応援したい。

 

敬称略

 

竣工写真 Satoshi Asakawa

 


鹿猿狐ビルヂング
奈良県奈良市元林院町22番
中川政七商店 奈良本店 10:00~19:00
定休日:なし
営業時間:
猿田彦珈琲 9:00-21:00
㐂つね11:00~15:00(LO 14:00)/17:00~22:00(LO 21:00)
JIRIN 9:00~21:00
茶論 奈良町店10:00~19:00(LO 18:30)

Profile
中川政七商店
1716年、奈良晒の商いからスタートした中川政七商店。それぞれの時代に合わせて歴代の当主たちがさまざまな改革を行ない、1985年に麻小物の小売「遊 中川」を立ち上げる。2002年、のちに十三代となる中川淳(中川政七)が入社。新ブランドの立ち上げ、直営店の開発に取り組む。2008年、中川政七が十三代社長に就任。コンサルティング事業の開始、新ブランド「中川政七商店」発表、合同展示会「大日本市」の開催など、新たな取り組みに挑む。2018年3月、十四代社長に千石あやが就任。先代は会長に就任し、産業観光を率いている。

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