ぬか漬け鍋ぬか漬け鍋

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細川亜衣のお取り寄せ料理帖

2021.12.30

細川亜衣のレシピ「ぬか漬け鍋」

ぬか漬けは、日本の伝統的な発酵食品であり、日本人のソウルフードである。その発祥は諸説あるが、現代のような、ぬか床に米ぬかを使ったぬか漬けが誕生したのは北九州地域だと言われている。北九州小倉城藩主である細川忠興(ただおき)がぬか漬けを食べ、それが城下の庶民に広まったと考えられている。

 

今では日本中で食べられているぬか漬けだが、家庭それぞれの味があり、そのぬか床は宝物とされていた。細川亜衣もまた、幼少期から毎日食べていた母のぬか漬けが故郷の味だと語る。



食材それぞれから旨味が出て、スープまで飲み干してしまう美味しさ。 食材それぞれから旨味が出て、スープまで飲み干してしまう美味しさ。

食材それぞれから旨味が出て、スープまで飲み干してしまう美味しさ。


寒川義雄の白磁甕。ぬか床用の白磁甕は、きゅうりを横にして漬けられる大きさになっている。この商品は、来春、泰勝寺で開催予定の寒川義雄展示会で販売する予定。 寒川義雄の白磁甕。ぬか床用の白磁甕は、きゅうりを横にして漬けられる大きさになっている。この商品は、来春、泰勝寺で開催予定の寒川義雄展示会で販売する予定。

寒川義雄の白磁甕。ぬか床用の白磁甕は、きゅうりを横にして漬けられる大きさになっている。この商品は、来春、泰勝寺で開催予定の寒川義雄展示会で販売する予定。



ぬか漬けをもっと手軽に、そして、とことん味わいたい

 

ぬか漬けは手が掛かり、上手に発酵させるのは難しいと思っている人は多いだろう。しかし、一度ぬか漬けに挑戦してみたいというのなら、”ぬか床屋さん”のぬか床を利用する方法がある。ぬか床屋さんと言われてもピンと来ない人は多いと思うが、北九州にはぬか床屋と呼ばれるお店が多くあり、代々受け継がれているぬか床を販売してくれるのだ。購入したぬか床は、すぐに好きな野菜などを漬けることができ、その味は間違いのない美味しさである。今回は、細川が愛用しているぬか床専門店を教えてもらった。


波多野淳子のぬか床には香辛料が6種類入っている。写真は青い実山椒、青唐辛子、赤唐辛子、昆布、みかんの皮、生姜。 波多野淳子のぬか床には香辛料が6種類入っている。写真は青い実山椒、青唐辛子、赤唐辛子、昆布、みかんの皮、生姜。

波多野淳子のぬか床には香辛料が6種類入っている。写真は青い実山椒、青唐辛子、赤唐辛子、昆布、みかんの皮、生姜。


北九州の郷土料理「ぬか炊き」。イワシやサバなど、足が早いと言われる青魚を、しょうゆやみりんで煮込み、ぬかみそをひとつかみ加えてさらに煮る。ぬかが魚の生臭さを消し、保存食として古くから食べられている。 北九州の郷土料理「ぬか炊き」。イワシやサバなど、足が早いと言われる青魚を、しょうゆやみりんで煮込み、ぬかみそをひとつかみ加えてさらに煮る。ぬかが魚の生臭さを消し、保存食として古くから食べられている。

北九州の郷土料理「ぬか炊き」。イワシやサバなど、足が早いと言われる青魚を、しょうゆやみりんで煮込み、ぬかみそをひとつかみ加えてさらに煮る。ぬかが魚の生臭さを消し、保存食として古くから食べられている。

細川は北九州・小倉にあるぬか床専門店「槇乃家」のぬか床を愛用している。「槇乃家」代表の波多野淳子のぬか床は、乳酸発酵の程よい酸味と旨味、6種の香辛料のさわやかな香りが食欲を誘う。2021年で槇乃家自体は閉店してしまったのが残念である。しかし、閉店後の今でも、波多野淳子の作るぬか床として、販売してもらうことが可能だ。


いりこ、昆布、大根のぬか漬けで出汁を取る。 いりこ、昆布、大根のぬか漬けで出汁を取る。

いりこ、昆布、大根のぬか漬けで出汁を取る。


取り皿には大根のぬか漬け、炒った金ごま、ごま油。 取り皿には大根のぬか漬け、炒った金ごま、ごま油。

取り皿には大根のぬか漬け、炒った金ごま、ごま油。


今回紹介いただいたのが、そのぬか床で漬けたぬか漬けを使ったお鍋である。お鍋に水と昆布、いりこ、そして肉や野菜の旨味だけでも十分味わい深いスープは出来上がる。しかし、そこに香りや味わいのアクセントとして、波多野淳子のぬか床に漬けた大根のぬか漬けを出汁として、また薬味として添える。すると、いつもの鍋がさらに香り深くなり、グッと旨味が増していくのだ。そして、スープまで全部いただきたくなる。優しい味わいのお鍋は、家族が集まる年末年始に楽しむのもよいだろう。今回は、ぬか漬けの新しい味わい方を知ることができたレシピである。


庭の白山木の赤い実。泰勝寺の庭にたくさん生えている白山木の木。冬に赤く色づく実は、おせち料理の飾りにも使う。 庭の白山木の赤い実。泰勝寺の庭にたくさん生えている白山木の木。冬に赤く色づく実は、おせち料理の飾りにも使う。

庭の白山木の赤い実。泰勝寺の庭にたくさん生えている白山木の木。冬に赤く色づく実は、おせち料理の飾りにも使う。


(敬称略)

 

 



ぬか漬け鍋(4人分)

 


水  1リットル
大根のぬか漬け  数cm分
昆布  5cm
いりこ  10尾
酒  1/2カップ

 


大根  5cm
豚しゃぶしゃぶ肉  400g
(肩ロース、ロース)
サラダ小松菜  適量
サラダ春菊  適量
よせ豆腐  1丁
ピーナツ豆腐  1丁

 

たれ
大根のぬか漬け  10cm
金ごま  大さじ4
ごま油  大さじ2
粗塩  少々

 

鍋にたっぷりと水を張り、昆布、いりこ、大根のぬか漬けを入れて弱火にかける。
昆布が浮き上がってくるまでじっくりと煮たら、昆布といりこは取り出す。
たっぷりの酒を注ぎ、塩を入れ、吸い物くらいの塩加減にととのえる。
大根の薄切りを入れて食卓へ運ぶ。
たれを作る。
大根のぬか漬けは小さなさいの目に切り、一部はめいめいの器に分けて盛り、残りはおかわり用に、別の器に盛りつけておく。
炒った金ごまとごま油を加え、粗塩をふる。
具をそれぞれ皿に盛り分ける。
食卓で鍋を中弱火にかけ、具を順に火を通しながら、たれの器に取り分けて食べる。
途中で水分が足りなくなったら湯を足し、たれも足しながら食べる。

 

*最後にご飯に熱々の汁をかけて食べるとおいしい。

今回のお取り寄せ


ぬか床 ぬか床

波多野淳子
ぬか床

 

商品:ぬか床 1㎏単位で販売。
価格:1㎏1500円(別途送料・5月頃からはクール便を使用)
商品:鐵やづけ
(ぬか床に鉄を入れることで、なすの発色がよくなり鉄分補給もできる。また黒豆を煮る時にも使うことができる)
価格:990円
購入方法:電話で注文。
TEL 093-452-2222


細川亜衣 Ai Hosokawa

 

料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)、「taishoji cookbook 1.2」(晶文社)を発売中。

 

 

Photography by Ai Hosokawa

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