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2021.8.31

白井屋ホテル 奇跡の出会いが生んだアートデスティネーションホテル

ホテル1階の吹き抜け空間。内と外がゆるやかにつながるインナーテラスのよう。©Katsumasa Tanaka

ホテルであり、街のリビングルームでもある。前橋のランドマーク的存在

 

かつて「何もない」と言われていた群馬県の前橋が、いま変貌を遂げつつある。全国でも珍しい民間主導で、都市をデザインするという手法から街を創生する――“前橋モデル”として注目を集める大きなうねりの中心にあるのが、2020年12月に開業した「白井屋ホテル」だ。

 

取り壊し寸前の建物を“前橋モデル”を主導する田中仁財団が引き継ぎ、再生プロジェクトをスタート。世界的建築家の藤本壮介が6年もの歳月をかけリノベーションした内部は、訪れた人の度肝を抜く4層吹き抜け構造に。杉本博司など美術館クラスのアート作品が点在する館内には、ジャスパー・モリソンがデザインした客室もあり、ミシュラン2つ星のシェフが監修するレストランでは上州キュイジーヌを楽しむこともできる。

 

歴史ある旅館の跡地を大胆にリノベーション


杉本博司 / フロント 杉本博司 / フロント

ゲストを迎えるフロントには杉本博司の海景シリーズ「ガリラヤ湖、ゴラン」を展示。©Katsumasa Tanaka


東京から新幹線で約1時間半、かつて絹産業の輸出拠点として栄え、今はオフィスビルが立ち並ぶ前橋の大通りに突如として現れるのが、「白井屋ホテル」のヘリテージタワーだ。ここは、この地で300年以上の歴史を誇る白井屋旅館が幕を閉じた建物を再構築したもの。さらに、利根川の旧河川の土手をイメージして新築したグリーンタワーの2棟で構成され、館内のそこかしこに様々なアート作品が展示されている。 


ローレンス・ウィナー ローレンス・ウィナー

大通り側のファサードには、言語を主要なメディアとするローレンス・ウィナーのタイポグラフィ作品が。©Shinya Kigure


白井屋ホテル グリーンタワー 白井屋ホテル グリーンタワー

新設されたグリーンタワー。土手の上に建つ小屋は、貸切使用できるフィンランドサウナ。©Shinya Kigure


開放感と静けさが同居する、オアシスのような空間

 

リアム・ギリックと杉本博司の作品に出迎えられながら内部へ。すると現れるのが、建築家の藤本壮介がリノベーションを考案し、4階建ての建物の床をすべてぶち抜いた、4層吹き抜けの大空間。メインダイニングやオールデイダイニングがある1階から見上げると、天窓から差し込む光とあふれるほどの緑に包まれ、建物の中なのに、テラスにいるかのような不思議な感覚になる。

 

吹き抜けを縦横無尽に走る「ライティング パイプ」は、建設中の「白井屋ホテル」をたまたま訪れたレアンドロ・エルリッヒが、空っぽの空間にインスパイアされ生み出したもの。さらに、ブリッジや階段も作られ、都市を回遊するような体験ができるのもユニークだ。数々のプロジェクトを手掛けてきた藤本壮介も「予想をはるかに超える面白さ、素晴らしさに、われながら驚いた」と語るほど、圧巻の景色が広がっている。


レアンドロ・エルリッヒ レアンドロ・エルリッヒ

レアンドロ・エルリッヒの「ライティング・パイプ」。時間帯によってその色を変化させ、日中とは違う雰囲気に。©Katsumasa Tanaka



白井屋ホテル 吹き抜け 白井屋ホテル 吹き抜け

階段上部から1階を見下ろす。見る視点によって空間が変化するところも興趣が尽きない。©Katsumasa Tanaka



外へと開かれたリビングルームとしての機能も


緑の山のような土手を模した新設のグリーンタワーにはバルコニー付きの8つの客室があり、ヘリテージタワーとは異なる趣に。またグリーンタワー側には人気のパティスリーがあり、その並びには今後ブルーボトルコーヒーのカフェとベーカリーも加わる予定だという。ゲストだけでなく、街の人々が集う開かれたリビングルームとしての機能を備えており、前橋のランドマーク的存在となっている。



白井屋ホテル ジャスパー・モリソン ルーム 白井屋ホテル ジャスパー・モリソン ルーム

ジャスパー・モリソン ルームは、大きな“木の箱”をイメージ。窓からは吹き抜けや共有スペースの雰囲気も楽しめる。©Shinya Kigure



美術館に泊まるような、非日常な体験を

ヘリテージタワーの客室は、英国の著名デザイナーのジャスパー・モリソン、イタリア建築界の巨匠ミケーレ・ デ・ルッキ、レアンドロ・エルリッヒ、藤本壮介による4つのスペシャルルームを含む17室。部屋ごとに異なるアート作品がしつらえてあり、ひとつとして同じ空間はないこともリピート滞在の醍醐味であろう。

白井屋ホテル ミケーレ・ デ・ルッキ ルーム 白井屋ホテル ミケーレ・ デ・ルッキ ルーム

「板葺き」の技術を取り入れたミケーレ・ デ・ルッキ ルーム。穏やかな静けさに包まれ、部屋そのものがアートインスタレーションのよう。©Shinya Kigure


白井屋ホテル ジュニアスイート 白井屋ホテル ジュニアスイート

鈴木ヒラクの作品が飾られたジュニアスイート。©Shinya Kigure


白井屋ホテル客室 白井屋ホテル客室

備品やアメニティのセレクトにもセンスが光る。©Shinya Kigure

ベッドマットレスには国内外のラグジュリーホテルに採用されているサータブランド、カーテンはテキスタイルデザイナー、コーディネーターとして活躍する安東陽子がデザインするなど、細部に至るまでこだわりを感じさせる。また、アメニティ類に使用するプラスティック製品やビニール包装は最小限に留めるなど、環境への配慮も忘れていない。



白井屋ホテル サウナ 白井屋ホテル サウナ

サウナで芯まであたたまったら、外気浴でリフレッシュ。奥の小屋には、ホテルゲストのみが鑑賞できる宮島達男のアートインスタレーションが展示されている。

©Shinya Kigure

1日2組限定で貸切利用できるサウナも用意。ロウリュなどもセルフでできる本格的なフィンランドサウナと、サウナ初心者も気軽に楽しめるミストサウナがあり、プライベートな空間で「ととのう」体験が味わえる。



群馬・前橋の食材にフォーカス。最高の夜を彩るフレンチディナー

メインダイニング「the RESTAURANT」で味わうディナーもまた、驚きに満ちあふれている。ミシュラン2星を獲得したフレンチレストラン「フロリレージュ」オーナーシェフ川手寛康が監修を務め、フロリレージュをはじめ、国内外の名店で研鑽を積んだ地元出身の片山ひろが腕をふるうのは、地域の食材と食文化を独自に再構築した“上州キュイジーヌ”。


白井屋ホテル メインダイニング 白井屋ホテル メインダイニング

メインダイニング「the RESTAURANT」。オープンキッチンを取り囲むカウンター席から料理人の手さばきを眺めることができ、そのライブ感も見所のひとつ。©Shinya Kigure


白井屋ホテル ディナー 白井屋ホテル ディナー

五感を刺激する「the RESTAURANT」の一品、冷や汁。©Shinya Kigure


白井屋ホテル ディナー 白井屋ホテル ディナー

メインの赤城牛。ディナーメニューには食材や伝統料理の名前だけが記されているので、「次は何が?」とワクワクした気持ちに。©Shinya Kigure



野菜や果物はもちろん、川魚も畜産も盛んな群馬は食材の宝庫。“海なし県”でありながら、近年ではひらめの養殖が始まるなど、そのポテンシャルは計り知れない。そうしたきらめくような食材を、片山シェフみずから農園や牧場に足を運んで吟味。旬の食材の持ち味を最大限活かしながら、これまでにない食体験の創出を目指し、滋味深く身も心も満たされる一皿を紡いでいる。


料理とともに堪能したいのが、ソムリエの児島由光が提案するドリンクペアリング。料理の魅力を引き出したり、時にはその温度差をあえて楽しんだりと、ディナーをより一層味わい深いものにするペアリングはノンアルコールも用意されているので、お酒が飲めない人もその楽しみを享受できる。

 

アート、建築、デザイン、食を通じて、旅行者と地元の人々のインスピレーションを刺激する「白井屋ホテル」。ホテルの枠を軽やかに超えるその存在から、今後も目が離せそうにない。

(敬称略)

白井屋ホテル

群馬県前橋市本町2-2-15
027-231-4618


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