「出羽桜 一路」720ml 3,000円(税抜)

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酒造りの誇りを胸に。世界が認める日本酒・蔵元選

2020.3.4

5. IWC チャンピオンに2度輝く日本唯一の蔵 出羽桜 四代目仲野益美が描く持続可能な日本酒の未来像

「出羽桜 一路」720ml 3,000円(税抜)

出羽桜(でわざくら)醸造元の出羽桜酒造は、将棋の町で有名な山形県天童市にある。四代目の仲野益美は現在、山形県酒造組合会長、そして日本酒造組合中央会の海外戦略委員長も務め、地元地域とグローバル展開、両方の責務を担い、活発に活動している。

 

出羽桜は、当代が四代目という比較的新しい蔵とはいえ、山形県では最大規模の蔵だ。李朝の陶磁器などを展示した公益財団法人出羽桜美術館も設け、地元の文化活動にも貢献している。また、環境へ配慮した酒造りを目指し、2014年よりソーラーパネルを設置。太陽光発電システムにより、年間約40,000L(18Lタンク×約2,200個分)の石油を削減することに成功。環境にやさしく、持続性の高い製造方法をいち早く取り入れる先見性の高さに驚かされた。

 

世界最大規模のワインコンペティションIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)に、2007年に新設されたSAKE部門で過去2回、チャンピオンサケに輝いた日本唯一の蔵である。最初の栄冠は2008年のこと。この時の受賞酒「純米大吟醸 出羽桜 一路」は英国王室ご用達のロンドン一の老舗ワイン商、ベリーブラザーズ&ラッドに日本酒として初めて採用された銘柄になった。この「出羽桜 一路」は、酒米の王様ともいわれる兵庫県産の山田錦で造られているが、市場が求める酒よりも出羽桜の酒造りは先んじていた。合致したタイミングが、IWCを受賞したときだったのだろう。2016年には、地元の酒造好適米・出羽の里で醸した「純米酒 出羽の里」で2回目のチャンピオンに。酒造りにも先見性が表れている蔵である。

「出羽桜 出羽の里」720ml 1,300円(税抜) 「出羽桜 出羽の里」720ml 1,300円(税抜)

「出羽桜 出羽の里」720ml 1,300円(税抜)

世界の日本酒愛好家の注目を集める出羽桜を擁する山形県も動いた。山形県は生産量では全国12位、しかし、IWC SAKE部門の上位受賞率ナンバーワンの県だ。2016年には、国税庁より認定された山形産の日本酒を保護する、地理的表示制度GIを「県単位」で取得した。これはワインの世界でいえば、ボルドーやシャンパンのように地域ブランドを保護する制度のこと。日本酒の地理的表示では「県単位」では、山形県が唯一となる。審査会で一定の基準を満たしていると認められた山形の日本酒のみに「GI YAMAGATA」マークを表示することができる。

 

この勢いに乗り、2018年には、吉村美栄子山形県知事の肝いりで、IWCのSAKE部門審査会を山形県へ誘致し成功。2018年5月、IWC SAKE部門の世界16か国の審査員が山形へ集結したのだ。この時も仲野は、山形県酒造組合会長として東奔西走、意欲的に活動したことは記憶に新しい。そしてこの夏、いよいよ東京オリンピックを迎える。仲野は、日本酒のアピールとともに、日本酒ツーリズムを山形に根付かせるために現在も奮闘中だ。文化的にも、そしてSDGsにもしっかりと立脚した仲野の描く山形の、そして日本酒の未来像に、酒サムライの同志としてエールを送りたい。

 

(平出淑恵 談)


常に現代的な視点を持ち、行動する四代目仲野益美。地域社会への貢献や還元、プロだけでなく消費者に美味しいと思ってもらえる酒造りを大切にしている。 常に現代的な視点を持ち、行動する四代目仲野益美。地域社会への貢献や還元、プロだけでなく消費者に美味しいと思ってもらえる酒造りを大切にしている。

常に現代的な視点を持ち、行動する四代目仲野益美。地域社会への貢献や還元、プロだけでなく消費者に美味しいと思ってもらえる酒造りを大切にしている。

平出淑恵セレクト 「出羽桜」おすすめの2本

出羽桜 一路
フルーティーでスムーズな飲み口。「日本酒に親しんでいない方でも、おいしい!と感激される1本。華やかな雰囲気で、お祝い事や贈り物にもぴったりです」。
種類:純米大吟醸酒
原料米:山田錦
精米歩合:45%
日本酒度:+4
720ml  3,000円(税抜)

 

出羽桜 出羽の里
山形県オリジナルの酒造好適米 出羽の里で醸した日本酒。「酵母も山形のもので、まさにオール山形の1本です。大吟醸酒にも負けない、きれいでクリアな味わいが楽しめる純米酒です」。
種類:純米酒
原料米:出羽の里
精米歩合:60%
日本酒度:+1
720ml  1,300円(税抜)

◆出羽桜 出羽桜酒造株式会社
山形県天童市一日町1丁目4番6号
023-653-5121

平出淑恵 Toshie Hiraide

1962年生まれ。日本酒の国際化からインバウンドの地方誘客を目指す株式会社コーポ幸 代表取締役。酒サムライコーディネーター。IWCアンバサダー。昇龍道大使(中部・北陸9県のインバウンドアンバサダー)

 

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日本酒の誇りを取り戻し、日本酒文化を日本国内のみならず、広く世界に伝えていくために、若手の蔵元の全国組織「日本酒造青年協議会」が2006年から始められた活動「酒サムライ」。Sake から観光立国をという夢を実現すべく活動する酒サムライ コーディネーター 平出淑恵が選ぶ、日本酒好きなら一度は訪れるべき個性豊かな酒蔵と、そこで味わいたい日本酒を紹介していく。

 

 

(敬称略)

Photography by Haruko Amagata

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