いま知っておきたい日本ワイン

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いま知っておきたい日本ワイン

2019.6.3

7. 名コンサル・沼田実の手腕が光る「かーさ のらぼうな 東京ルージュ2018」

日本国内で栽培されたブドウを100%使用して国内で醸造された「日本ワイン」が目覚ましい進化を遂げ、世界から耳目を集めている。覚醒し始めた「日本ワイン」がパラダイムシフトを起こす中、3人のワインオーソリティーが今、経験すべき12本を厳選し、紹介する。

かーさ のらぼうな 東京ルージュ2018 かーさ のらぼうな 東京ルージュ2018

ソムリエ 松木リエが選んだ日本ワイン×かーさ のらぼうな 東京ルージュ2018

 

ワインコンサルタントという職業がある。醸造と栽培の豊富な知識や経験を元に、いくつものワイナリーをクライアントに持ち、ワイン造りを指導していく仕事だ。日本ではまだ聞きなれないが、海外では認知された職業である。

 

沼田実はホテルのソムリエやワイン輸入会社を経て、ニュージーランドでワイン造りを学んだという経歴の持ち主。ワイン業界の様々な側面を熟知した上でのコンサルタントに、オファーが絶えない。2018年、沼田がコンサルティングを手掛けたのは、ワイン造りには向いていないと誰しもが考えるだろう、東京だった。

 

ワイナリーは多摩地区西部のあきる野市にある。2015年、カビの病気に強くカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴を併せ持つ、ヤマ・ソーヴィニヨン種が500本植えられたのが始まりだ。あきる野市は、五日市湖が氾濫してできた扇状地で、砂利が堆積し水はけがいいそうだ。南北を2つの川に挟まれ西から東に風が抜けるので、過度な水分や湿気に弱いブドウにとっては意外とうまく育つ環境があるというから驚きである。

 

ワインはカシスのような豊かな果実味と、丁子のようなスパイス風味をバランスよく感じる。ピノ・ノワールのエレガントなワイン造りを得意としている沼田らしい、絶妙な、程よい渋みの抽出だ。若々しいワインながらコクも感じる仕上りで、野菜をたっぷり入れた回鍋肉や味噌カツなど味噌との相性は抜群だろう。

 

(敬称略)

かーさ のらぼうな 東京ルージュ2018
造り手:(株)ヴィンヤード多摩 / ワインコンサルタント・沼田実(2019年3月末まで)
品種:ヤマ・ソーヴィニヨン(ヤマブドウ×カベルネ・ソーヴィニヨン。1990年に山梨大学で交配)
特徴:東京都あきる野市に約0.3haの自社畑と醸造所を所有。醸造コンサルタントに沼田を招聘し2018年よりワインを生産。商品化されないはね出しリンゴを使った弱発泡性のシードル「ふぞろいの林檎ワイン」をつくるなど、農業を救うプロジェクトにも積極的。
価格:4,644円(税込/編集部調べ)
http://vineyardtama.com/

Text by Rie Matsuki
Photography by Michinori Aoki

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