「光る君へ」言いたい放題レヴュー

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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.6.18

どう考えても無理のある越前編。バイオレンス周明も唐突。唯一の救いは、ほっこり乙丸。



「光る君へ #24忘れえぬひと」あらすじ&今週も言いたい放題
越前編の展開がどうなることやら、心配のあまりハラハラ




今週のお当番のM男です。始まるまではハラハラしながら待っていた第24回です。ハラハラというのは、これ以上ヘンテコリンな方向へ突き進みやしないかという、心配のハラハラです。結論からいえば、最悪の方向ではなかったものの、「なんだかなぁ」感は拭い去ることはできませんでした。


「抱きしめられるとわかるの」って、ホント?


N子さんが心配していた、定番のハニートラップ展開はなかったものの、周明がここぞとばかりに抱きしめた時に「抱きしめられるとわかるの」とまひろ。「おいおい、まひろさんよ。確かに道長との逢瀬では真実の愛がこもった抱擁だったかもしれないけれど、ただその経験だけでそれを言う?」と突っ込みを入れたくなります。

 

ハニートラップに陥って、面倒な(でも実はありきたり)展開になるよりはましですが……。そのあといきなり、壺を割ってまひろを脅すバイオレンス周明。その展開もなんだかなぁです。そんなことありえんだろ。もし、そうだとしたら、どうしてまひろは危ない目にあったことを、周囲の人間に伝えないの?


いいぞ、乙丸。そのほっこりで、まひろを慰めてあげて


殺人事件といい、周明の存在そのものといい、どうも越前編には無理があります。唯一ほっこりしたのは、乙丸のあの、ポワ~ンとした存在です。実資こと秋山竜次さんと同じで、矢部太郎さんは、登場する時間は少ないものの、いわゆる「空気をさらっていく」役者ですね。殺伐としたシーンの後だっただけに、いっそう和みました。


観てて辛い越前編。早く都へ戻った方がよいのでは


次回予告で、まひろは船に乗っていましたが、もう京都へ戻るのでしょうか? 大河ドラマ関連(便乗?)の施設を作って待ち構えていた福井の方々には気の毒ですが、もう戻った方がよいと思います。そうなると周明の存在は? まさか都まで追いかけてくる? そんなことはありえないはずなので、松下洸平さんは次回あたりでフェイドアウト?

 

いや、まだまだ活躍(?)するかも。なぜなら、冒頭でテーマ音楽とともに出演者名が流れるところで松下洸平さんは、俳優第一グループのトリですからね。つまり格が高いということ。

 

そんな俳優を、早々とフェイドアウトさせるかなぁ、という本題から少し離れた見方での邪推ではあります。覚えた中国語を書いた紙も、燃やすのを止めたし。

 



凛々しくなった一条帝。かっこいいなぁ


さて、都では一条天皇が、凛々しくなりました。道長を叱責したりしています。おお、かっこいい。花山院を隆家が射かけた件に関しても、道長を問い詰めています。道長は道長で斉信に騙されたとこぼしています。このあたり、うまく作っていますね。道長も中関白家を追い落とす謀略に一枚噛んでいたという説もあるくらいですから、ドラマではあくまでも第三者的な立場にしておかないと、まずいですものね。




ほんとうは、少しアバウトだった道長? 日記も誤字脱字が多いとか


でも、道長というのは、権力志向の塊のような人間としか歴史で習っていませんが、少しアバウトなところもあったようです。というのは、最近M男が読んだ本によると、道長が残した日記である『御堂関白記』は、和歌を引き写した際の誤りや文字の抜けが多いそうです。しかも、当時の他の人が遺した日記、たとえば、あの実資の『小右記』などでは、字を間違えた場合には、間違えた字の横に、その字が間違いであるという記号をつけて、その脇に正しい字を書くのが普通だそうですが、道長はなんと誤った字の上に、そのまま正しい字を重ねて書いていることが多いとか。なので、後世の人間はその字がなんだか分からず、研究者泣かせだそうです。そんなことを知ると、ドラマでの道長の、ちょっととぼけた人間味も、まんざら嘘でないような気もしてきて、すこし微笑ましくなります。

NHK様、攻めていることはわかりますが、もう少しソフトに


ここでNHK様に苦言。定子様を内裏に呼び寄せるにあたり、ふさわしい場所として「職御曹司(しきのみぞうし)」が登場しますが、これって「内裏の東にある」というナレーションだけではわからないのでは。

 

M男は、「シキノミゾウジ」って何?と思い、放送後にネットにあがっていた、「中宮職の庁舎で、皇后や中宮が仮によくいる場所で、穢れを回避するときにも使われた」という、佐多芳彦先生の解説で、始めて分かった次第です。そもそも「職御曹司」って漢字もわかりませんでしたよ。このあたり、道長と行成との会話のなかでサラリとうまく説明してほしかった。

そして、苦言続きでもうひとつ。「攻めたNHK」との声もあがっているようですが、「職御曹司」での、一条天皇と定子さまとのシーン。仕草といい、ライティングといい、M男は目のやり場に困りました。前にも書きましたが、NHK大河ドラマは、日曜のお夕飯後の一家団欒、小学生も親と一緒に観てるんですから。もう少しソフトにできないものなのでしょうか。お願いしますよ、NHK様。


早く、彰子様が入内して、まひろが紫式部とならないかなぁ


「おまえのすべてを丸ごと引き受ける」という、宣孝のなんとも「くさーい」プロポーズを受け、まひろは宣孝と夫婦となります。でも「忘れえぬ」人がいても良い、という宣孝の言質も取っているわけですから、都へ戻っても、道長との逢瀬は許されるわけですね。

 

このところ、M男はわかってしまったのです。なにがって、つまりドラマが中弛みしそうになったら、あの荒れ果てた屋敷で、まひろと道長との束の間の逢瀬を出せば、また盛り上がるって手法を。だから、これからもちょいちょいそのシーンは出てくるはず。きっと。

なんだか、今回の「言いたい放題」は下世話な内容ですみません。ああ、はやく彰子さまが入内して、まひろが紫式部にならないかなぁ。


「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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