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2024.5.3

「光る君へ #17 うつろい」道隆、飲水の病=糖尿病?で死す!詮子と定子の嫁姑バトル勃発

飲水の病=糖尿病?
平安時代も現代も生活習慣病に悩まされた

 

 

今週のお当番はN子です。今週の「光る君へ 第17回 うつろい」のハイライトはやはり、関白・藤原道隆の死ではないでしょうか?井浦新さん演じる道隆の最期は凄まじかったですね。迫りくる死をなんとか頭の中から追い出そうとしながら、でも死に飲まれていく様子が、おそろしくも、悲しく描かれていました。

 

 

道隆は、水を大量に飲んでいましたね。飲水の病と道長に言われていましたが、これはまさに糖尿病でしょう。水を大量に欲しがったり、手足がしびれたり、光をまぶしく感じたりする様子がしっかり描かれておりました。平安時代、飲水の病は過度の飲酒、濃い味の食事を好む、冷気に当たる、そして過度の房事によってかかるとされていたとか。一概には言えませんが、現在でも飲酒や食事など生活習慣が糖尿病に関係すると言われています。


道長も糖尿病だった?!

 

道隆の登場シーンは、愛妻の貴子と注しつ注されつ、美味しそうにお酒を飲んでいるシーンが多かった印象です。飲み過ぎだったんですね。実は道長も飲水の病がもとで亡くなったとか。道隆も道長も、ストレスからついつい飲んでしまったのでしょうか。

 

 

道長が糖尿だったことは、秋山竜次さん演じる藤原実資の日記「小右記」にも出てくるそうです。道長も道隆同様、目が見えにくくなり(おそらく白内障か糖尿病網膜症)、背中にお椀大のできものができ、これが原因で敗血症で亡くなったと考えられています。
道長は記録に残る最古の糖尿病患者だったとして、1994年に開催された「第15回国際糖尿病会議」の記念切手に、六角形のインスリン結晶と共に描かれています。

 

 

 

道隆も道長も、なぜ糖尿病になってしまったのかというと、当時の食生活、特にお酒に原因があるらしいです。当時のお酒は、いまでいうところのみりんのようなもの。甘くて、カロリーも高かったのでしょう。それをガンガン飲んでいたら、そりゃ糖尿病にもなってしまいますわ。


嫁・定子さまvs 姑・詮子のバトル勃発!

 

今回、道隆が病に倒れ、もう長くないというのを周囲が理解しはじめると、道隆亡き後の覇権を取ろうと色めき立ちました。特に伊周を推す定子さま陣営と、道兼を推す詮子さま陣営の静かな、そして陰湿なバトルが勃発です。

 

 

定子さまは父上・道隆に早く皇子を作れーと迫られるし、こりゃ長くないなと思ったことでしょう。道隆が亡くなる前に内覧という役目についていれば、そのあと関白ゲットは既定路線という前例を仕入れます。とにかく一条天皇の首根っこは抑えているので、なんとかせい!と兄上の伊周に入れ知恵。あんな可愛い顔して……。

 

 

詮子さまもただ者ではないです。そりゃあの計略家、兼家の娘ですからね。弟たちふたりを呼び出して、作戦会議です。次期関白として道兼は嫌いだけど推すこと、伊周を嫌っている公卿たちを抱き込むって!


斬新!宮廷女性たちの人生を賭けた
政治介入が描かれていく

 

でもこの一連の描き方って、新しいなあと思いました。これまでの歴史や国語の授業で仕入れた知識では、定子さまはただ可愛らしく、一条帝に愛され、清少納言に「枕草子」を書かせるほどのサロンを形成していた人でしかありませんでした。ところが「光る君へ」の定子さまは違う。彼女は姑・詮子と闘います。自身のため、そして道隆につながる家の者として。

 

 

この後、このお可愛らしい定子さまがたどる悲劇的な最後を私たちは知っています。ただ父・道隆が亡くなり、兄・伊周が権力の移譲に失敗したのを見ていたわけではない。そのまま悲劇へと流れて行ったわけではないという描き方は新しいです。彼女は彼女なりに闘ったと。宮廷に生きる女性たちが、自らの人生を賭して、陰ながら政治介入している姿を描いてる点は、とてもいいと思いました。



まひろと道長、それぞれの良き世を目指すふたり

 

 

道長は、奥様の倫子さんにお金を融通してもらい、悲田院の拡充に乗り出します。倫子さんのご実家が太くて本当によかったです。いつの世も実家が太いって素晴らしいですね。それだけで人生の自由度が上がるわー。でも悲田院に行った晩、どこに泊まったか聞かれてしらっと御所、って答えるあたり。絶対ウソだってばれてるな。

 

 

まひろは家で「荘子 」読んでいますよ。「源氏物語」に荘子の影響あるのかな?って調べてみたらありました!そういう論文がいくつも出てきます。夕顔巻にその影響が顕著だそうです。まひろは父から漢学の素養を、「蜻蛉日記」や多くの和歌から男女の心の機微を、そして自身の過酷な人生から学んでいます。でもまだ、まひろの中でそれらすべてが繋がっていないわけです。まひろの中ですべての点が結ばれたとき、それが、彼女の闘いが始まるときなのでしょうね。



まひろは書くこと、読まれることのよろこびを知る

 

今週、絶交状態だったさわさんと仲直りしておりました。せっせとさわさんに送った文を、さわさんは書き写してまひろに追いつこうと頑張っていたと聞き、まひろさん、まんざらでもありませんでした。

 

 

手紙を写経? なんかよくわかんないけど、まあいいか。よっぽど素敵なお手紙だったのでしょうか?でもまひろさんはこの経験で、自分が書くこと、そして読まれることのよろこびを知ります。確かにねー、これはまた格別なんです。それは私N子も、M男さんも痛いほどわかります。

 

 

この経験をきっかけに、まひろさんは書くことに、そして読まれることにもっと自覚的になるのでしょうか。まひろの知識、そして人生経験は、まだ夜空に散らばる星々のように繋がってはいないのですが、この星々が線で結ばれていったとき、まひろの闘いは始まるのでしょうか。道長と交わる点はどこにあるのでしょうか。「源氏物語」に通じていく、その道筋にワクワクしています!













「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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