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By Executives プレミアムジャパンに集うエグゼクティブたちのブログ

2021.8.29

中村孝則/ パーク ハイアット 京都の見どころ、味わいどころ

「パーク ハイアット 京都」初訪問で見つけた、魅力と愉しみ

文・中村孝則

 

「パーク ハイアット 京都」への初訪問がようやく叶った。今回は、二泊三日と短い滞在であったのだが、私なりにこのホテルの魅力と愉しみどころをお伝えしたいと思う。「パーク ハイアット 京都」の開業は2019年10月30日である。日本で「パーク ハイアット」ブランドが登場するのは実に25年ぶりで、東京についで二軒目となる。その後、2020年の1月に国内3軒目のパーク ハイアット ニセコ HANAZONO が北海道に開業している。


パーク ハイアットの特徴をよく生かした、ユニークな取り組み

 

現在、ハイアットはグローバルなホスピタリティ企業として、アンダースやグランドハイアットなど20ブランドを68ヶ国に1000の施設で展開をしている。パーク ハイアットはそのトップブランドとして40数軒が世界の主要都市にある。パーク ハイアットの魅力には、大きく二つの側面があり、ひとつは建築および内外装の極めて高いクオリティと、調度品や装飾品の徹底した作り込みにある。その土地の風土や文化に寄り添ったスタイリッシュな解釈や、天然素材を多用したインテリアは、見どころとなっている。加えて、長期ステイするゲストのための、飽きのこないレイアウトやプラバシーへの気配りもテーマとしている。そして、建築や環境への取り組みという点でいえば、パーク ハイアット京都は同グループの中でも、さらに際立ってユニークであるといえそうである。


まず立地である。このホテルは京都東山区の高台寺に隣接し、清水寺へ至る二寧坂に面した歴史文化地区にある。そしてこの土地には、創業140年を超える老舗料亭「山荘 京大和」があり、江戸時代から引き継がれた茶室を含めた木造建築群は、京都市の歴史的建築物にも指定されている。

 

 

「山荘 京大和」の貴重な建築群の保存・復元のタイミングということもあり、建築施工を竹中工務店が中心となり開発プロジェクトが進んでいた。その開発段階で誘致されたのがハイアットである。結果的に、老舗料亭とグローバル・ホテルと竹中工務店との三社合同で出来上がったのが、「パーク ハイアット 京都」である。ホテルの設計施工は竹中工務店が担い、東山区の景観だけでなく「山荘 京大和」の歴史的建造物や庭園と調和するように建設され、運営に関しては、双方が独立性を確保するという、ユニークな形態をとっている。

 

 

見どころとしては料亭と一流ホテルとの相乗効果を狙った建築的な配慮やデザイン性であろう。ホテルに関しては近代建築でありながら、“瓦屋根の群としての風景”つくりや、日本庭園との調和などは見事である。ホテルの軒を既存の日本庭園の中に複数に分けて配置しているので、エントランスからの全景はもちろん、通路や路地あるいは客室の窓から望む遠景・近景そして庭を望む借景も素晴らしい。建築やインテリア、あるいは庭園に興味のある方は特に、見どころ満載だと思う。このエリアは景観条例もあり、建物の高さや建築面積の制約のため、ホテルの客室数は70に抑えられているが、結果的にスモール・ラグジュアリーなホテルとしての価値を高めることにもつながっている。


歴史的地区の景観に溶け込むように設計された外観。ホテルエントランスの庭は、庭師の北山安夫氏によるもの。 歴史的地区の景観に溶け込むように設計された外観。ホテルエントランスの庭は、庭師の北山安夫氏によるもの。

歴史的地区の景観に溶け込むように設計された外観。ホテルエントランスの庭は、庭師の北山安夫氏によるもの。

景観のディテールということで私のオススメは、庭師の北山安夫氏がホテルのエントランスに作ったプリツカーガーデン(叡心庭)である。この庭にはハイアット会長のトーマス J.プリツカー氏より贈られたという、コロラド州アスペンの3億年以上前の石と、京大和の庭園にあった法隆寺の伽藍石が配され、見どころも満載である。

京都の食材にフランス料理の手振り。今までにない鉄板料理「八坂」

 

施設周りの見どころはこのくらいにして、パーク ハイアットのもう一つの魅力の“もてなし力”の象徴ともいえる、美食についても触れなくてはならない。まずは、メインダイニングの「八坂」について。名前が示す通り、このレストランのシートからは八坂の塔を眼前に、京都の街並みを一望することができる。さらに加えるべきは鉄板焼きの調理スタイルを採用しながら、フランス料理の手法を取り入れた、イネベーティブ鉄板料理を創作していることだろう。料理長の久岡寛平氏は16年にわたりフランスで研鑽を積み、モンペリエやパリの名店で勤めたのちに、「八坂」の開業にともない料理長に就任している。

 

 

京都の地元の食材でフランス料理の手法を盛り込み、今までにない鉄板料理に挑戦している。例えば、シグネチャーディッシュの「八坂パンケーキ」は、目の前の鉄板で焼かれたじゃがいものパンケーキの上に、ウニや車海老やキャビアを盛り付け、二色のソースで仕上げている。スターターとしての味覚の高揚感と、料理ジャンルを超えたダイニングの楽しさを提案する。鉄板というライブ性をガストノロノミーでどう表現し得るのか。これからの進化をさらに期待したいところである。


メインダイニングの「八坂」は、鉄板カウンターというスタイルで、斬新なフランス料理が堪能できる。 メインダイニングの「八坂」は、鉄板カウンターというスタイルで、斬新なフランス料理が堪能できる。

メインダイニングの「八坂」は、鉄板カウンターというスタイルで、斬新なフランス料理が堪能できる。

「八坂」のシグネチャーディッシュ。白ネギを混ぜ込んだ甘みのある生地に、雲丹や海老やキャビアが贅沢に盛り付けられている。 「八坂」のシグネチャーディッシュ。白ネギを混ぜ込んだ甘みのある生地に、雲丹や海老やキャビアが贅沢に盛り付けられている。

「八坂」のシグネチャーディッシュ。白ネギを混ぜ込んだ甘みのある生地に、雲丹や海老やキャビアが贅沢に盛り付けられている。


骨つきでゆっくり火入れした南仏シストロン産の子羊は、スパイシーなアリッサとともにいただく。 骨つきでゆっくり火入れした南仏シストロン産の子羊は、スパイシーなアリッサとともにいただく。

骨つきでゆっくり火入れした南仏シストロン産の子羊は、スパイシーなアリッサとともにいただく。

久岡寛平氏は奈良生まれ。フランス料理人としてフランスで16年にわたり研鑽を積んだのちに、「八坂」の調理長に就任。 久岡寛平氏は奈良生まれ。フランス料理人としてフランスで16年にわたり研鑽を積んだのちに、「八坂」の調理長に就任。

久岡寛平氏は奈良生まれ。フランス料理人としてフランスで16年にわたり研鑽を積んだのちに、「八坂」の調理長に就任。

さらに加えると、朝食も素晴らしい。ホームスタイルカフェの「KYOTO BISTRO」は、二寧坂に大きく窓が面していて、まるで街並みの中に溶け込んで朝ごはんを食べるような雰囲気があり、旅情も満点である。ここで朝食を食べるためだけに、ステイする価値があるとお伝えしておこうと思う。朝食ということで加えれば、和食のチョイスもあり、その場合は隣の料亭「山荘 京大和」の料理を、好みの時間にホテルの客室で楽しむことができる。こちらは、お弁当のスタイルで数々の料理とともに、炊きあがりのごはんが土鍋ごと持ち運ばれ、目の前で盛り付けがされる。ホテルの客室でありながら高級旅館さながらの朝食を楽しめるのがミソである。

 

 


二寧坂で行き交う人を眺めながらの朝食。 二寧坂で行き交う人を眺めながらの朝食。

二寧坂で行き交う人を眺めながらの朝食。


バー「琥珀」から望む、京都の夕景が素晴らしい。 バー「琥珀」から望む、京都の夕景が素晴らしい。

バー「琥珀」から望む、京都の夕景が素晴らしい。


オリジナル・カクテルの数々も、京都にインスパイアされて創意あふれている。 オリジナル・カクテルの数々も、京都にインスパイアされて創意あふれている。

オリジナル・カクテルの数々も、京都にインスパイアされて創意あふれている。

滞在そのものが目的となるホテル、「パーク ハイアット 京都」

 

最後に、バー好きであれば、ぜひバー「琥珀」へも立ち寄って欲しいと思う。 チーフバーテンダーの中村晃子氏のオリジナル・カクテルはコンセプトも味わいもユニークで美味しいから。

 

ホテルのデザイン性やスケール感といい、もてなしのディテールの詰めかたといい、滞在そのものが目的になるホテルであることを、あらためて実感する滞在となった。


パーク ハイアット 京都

京都府京都市東山区桝屋町360
中村孝則 Takanori Nakamura 中村孝則 Takanori Nakamura

Profile

中村孝則 Takanori Nakamura

コラムニスト。神奈川県葉山町生まれ。ファッションやグルメやワイン、旅やライフスタイルをテーマに、新聞や雑誌やTVで活躍中。現在、「世界ベストレストラン50」日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)、共著に『ザ・シガーライフ』(オータバブリケーションズ)などがある。


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